ご依頼とサイト制作の目的
足立区で70年以上にわたり砂型鋳造を続けている斉藤合金鋳造所様のホームページを制作させていただきました。
今回は、足立区内の中小企業をIT面でサポートしている株式会社クレイドル様と協力して進めました。
すでにシングルページのホームページをお持ちでしたが、事業内容をよりしっかり伝えるため、新たなホームページ制作をサポートさせていただくことになりました。
斉藤合金様の目的は、HPで集客を図ることではなく、砂型鋳造という仕事と事業をしっかりと伝えることにありました。
もちろん、HPを見て興味を持ち、ご依頼につながることがあれば良いという意図はありましたが、集客を最優先とする考えではありませんでした。
そのため、サービスを求める方の視点に寄り添った構成ではなく、斉藤合金様の歴史や技術の継承、そして真面目にコツコツと事業に取り組んできた姿勢や思いを伝えることを重視したサイト構成としました。
砂型鋳造の制作工程のイメージ合わせ
現在、斉藤合金様が対応している砂型製品は、主にクラリネットなどの楽器の部品です。部品自体は非常に小さなものですが、繊細な音色を奏でる楽器にとっては、確かな品質が求められると感じました。
当初、砂型鋳造の具体的なイメージが掴めないでいましたが、同業他社のサイトやYouTubeに掲載されている映像を見て、少しずつイメージが湧いてきました。
しかし、実際に詳しく話を伺ってみると、同じ鋳造業者でも素材や対応する商品、企業規模によって違いがあることがわかりました。たとえば、「これはアルミなので、火の色がうちとは違いますね」と、窯から出る火の色にも差があることを教えていただきました。
ホームページに掲載する写真・動画の撮影
目的や費用の範囲的に、ミニマムに必要な情報をぎゅっと詰めるという構成を考えていましたが、砂型鋳造をしっかり伝える上では、実際の作業場の写真や映像があった方が良いという流れになりました。
撮影は異例の猛暑が続く中、9月半ばを過ぎても30度を超える日があり、当日も作業場は熱さとの戦いでした。火入れは朝6時半頃から始まり、火入の後、材料が溶けて鋳込み作業に入る8時半に伺い、撮影をスタートしました。
作業場では、代表が火傷を防ぐために長袖とマスクを着用。職人の山本さんは全身から汗を吹き出しながら、緊張感の中でリズムよく二人三脚で作業を進めていました。火入れから鋳込み、砂型のバラシまでの一連の作業が終わったのは10時頃でしたが、わずか1時間半ほどだったにもかかわらず、その場にもっと長くいたような感覚でした。
撮影中、職人の山本さんから「金属が溶けた窯も撮影していいですよ」と声をかけていただきましたが、1000度を超える窯に近づくのが怖くて、カメラを構えながら「怖い!無理!」とつい声が漏れてしまい、カメラもぶれてしまいました(笑)。
山本さんによると、真鍮や洋白は溶解温度が高く、万が一靴の上に少し落ちてもさらっと流れて火傷しにくいそうです。一方で、アルミのような溶解温度が低い素材は、肌に付着すると金属がそのままくっついてしまうため、より注意が必要だとのことでした。
また、窯に近づく際には、熱気で火傷する可能性があるため、長袖を着る必要があるという話も伺いました。
撮影はHP掲載用でしたが、迫力ある鋳造の現場に立ち会えて、大人の社会科見学のような気持ちで、とても楽しく興奮しました。
最後に
かつては同業者が多く存在していたものの、現在でも砂型鋳造の事業を続けている企業は非常に少ないそうです。
斉藤合金様の技術が必要としているところに届き、れからも多くの人々の役に立つことを、陰ながら応援していくことができたらと思っています。